龍姫湖・温井ダムまつり・温井ダム達人講座レポートその2
▲戻る  ● 温井ダムのコーナー


 さて、温井ダムの役割等の話はこのあたりで・・・ダム本体等の話に戻ります・・・・・
 温井ダム・・すぐ上流に王泊ダムや発電用水を取水する堰があります。そのため、普段は本流からの流入はわずか・・「普通の川と同じです」状態なんだそうで、貯水池の周りの沢や小川から流入する水を、そのまま利水放流設備から放流しているそうです。利水放流設備には発電所が併設されていますが、ある程度の放流をしないと発電できないそうです。当日は放流が少なく発電していないと言われていました。

 続いて・・設備の見学へ行くことになりました。その前に、管理所の飲料水を飲ませてもらいました・・貯水池に流れ込む沢から取水しているとのことで、とてもおいしかったです。ただ、塩素殺菌しているので、名水としては販売できないそうです・・それで、ぼくが、加計町職員のお姉さんに「加計町ががんばって、殺菌しなくてもいい水源を探して、温井ダムの水とかって販売すれば?」って(笑)

 まず、3階の資料館へ・・ダムサイト(ダムを設置する場所)の岩盤の説明を・・岩盤には強度によってA級、B級、C級、D級と分類され、A級岩盤が最も強固、D級岩盤はかなり脆弱なんだそうです。日本のダムが設置されている場所ではA級岩盤は見つかっておらず、B級が最強だという・・温井ダムのダムサイトの基礎岩盤はB級岩盤で、アーチ式ダムの建設が可能・・ダムサイト表面近くにあるD級岩盤、C級岩盤の多くは掘削されます。なお、C級岩盤でも細かくクラスが別れており、B級に近い強度があるところは削っていないそうです。そして、温井ダムでは、この掘削した岩石のうち十分強固なものをコンクリートの骨材としてリサイクルしました。それゆえ、どこかの山を削って骨材を供給する必要もなく、運搬コストを大幅削減できたうえ、山を削ることにより不用意にダム建設地以外の自然を破壊することもなかったそうです。
 ダム本体のコンクリートは、通常のコンクリートと違い、強度は2〜4倍もあるそうです。また、温井ダムの中には鉄筋は入っていないそうです・・「コンクリートの一枚板と考えてください・・継ぎ目ができず一枚板になるよう、コンクリートの打ち込みは工夫しています。」なんだそうです・・・


選択式取水設備

 次は管理棟から出て、選択式取水設備の中に案内してくれました。選択式取水設備とは、いくつかのゲートを使って、水質や水温に応じて取水する水深を変えることができる設備です。温井ダムの選択式取水設備は、アーチ式のダム本体に設置できないので少し離れた斜面に設置されています。中から見ると、かなりの傾斜があり、落ちたら水面まで転がっていきそうです。当日は表層から取水していました。ここで取水された水は、利水放流設備へ送られます。なお、温井ダムの選択式取水設備は取水できる水深の幅が国内最大です。



ウインチ

 選択式取水設備を動かすウインチです・・温井ダムの選択式取水設備は4つのゲートで構成されていて、そのうち2つは小さな複数のゲートで一枚のゲートになっており、その小さなゲートの間を開けることにより、きめ細かく取水する水深や範囲を変化させることができます。
 なお、この建物は二階建てになっており、二階にもウィンチがあります。

 さて・・選択式取水設備の見学が終わると「時間はまだありますか?」と聞かれたので、「はいまだ大丈夫ですよ」と答えると「人数が多かったらここまでにしようと思っていたけど」・・と何やら意味深な発言に・・
o(^o^)oドキドキ



エレベータ

 参加者がけん一人で時間も余裕があるので、ダムの中に案内してくれることになりました・・ヘルメットをかぶって・・。けんのネット友達たちはいくつものダムの中を見学されていますが、けんにとっては初体験です。(ちなみに、温井ダム・八田原ダムでは内部の一部が一般開放されているので、そこには入ったことがありますが・・・)
 エレベータが普段は止まらない位置に止まりました・・このエレベータ、一般開放されていますが、普段は一番上と一番下しか止まりません。私たちが降りた後、他の見学者のために、通常の運転をするように設定し直していました。



監査廊

 エレベータから出たらトンネルが・・これがいわゆる監査廊(かんさろう)です。なお、ここはダム本体の監査廊ではなく、ダムへ通じる監査廊です。エレベータのそばで照明のスイッチを入れていましたが、「ここでスイッチを操作したことは管理所ですぐに分かりますよ」とのこと・・
 監査廊を歩いている時、ダムからの漏水の話になりました・・


 

 「ダムは必ず水が漏れます。完全に止めることはできないんですよ・・問題は、漏れる水の量が変化する時です。ダムになんらかの変化があった可能性があるからです。特に水量が増える方向は危険です。私の経験からすれば、温井ダムは極めて漏水の少ないダムです。」とのこと・・ちなみに、極めて漏水が少ないといっても、全体で毎分20リットルの水が漏れているそうです。
 また、漏れた水が監査廊にたまってきますが、これはポンプでくみ出すので問題ないそうです。


ダム本体の監査廊

 ダム本体の監査廊に来ました・・写真では分かりにくいと思いますが、ものすごい傾斜があり、階段を踏み外したら、一番下まで転がり落ちそうです。監査廊は一日2回巡回しているとのこと、ダムの状態のチェックや不審者が入っていないかチェックしています(おいおい・・入る人いるのかい?・・あっ\(◎o◎)/!・・ダムマニアならやりかねかいか(爆))
 これだけの傾斜があると歩いて階段を昇降するのは大変です。それで、温井ダムの監査廊には小型のモノレールが装備されています。実際に動かしてくれました(乗らなかったけどね)・・これも動かせば管理所からすぐに分かるそうです・・



次へ  ▲戻る  ● 温井ダムのコーナー